2015/01/04 Category : NBM 小ネタ 二週間に一度、ムノとエーヌは仕事場を離れ、街に出ることを許される。だがそれは外出許可というよりも、彼らの護衛対象である少女のもとから引き離すのが目的ではないかと言うのが二人の共通意見だ。エルシーという少女はおそらく普通の少女ではない。ではどう普通ではないのか、という説明は出来ないが、彼女から漂う違和感を、ムノはムノなりに感じとっていた。 だがそれを指摘する立場ではないということも重々理解しているが故に、ムノは今日も、特に目的がないまま街に繰り出した。「おまえはどうすんの」「文房具屋にでも行く。新しく万年筆を買おうかと思ってな」「ふーん。俺はどうするかなあ。どっかのカフェにでも引きこもるか」「相変わらず時間の使い方が下手だな」 エーヌの指摘はその通りだったので、ムノは小さく苦笑いをすることでそれに答えた。彼女は、それじゃ、とあっさりと離れていく。いつも通りだ。彼女の方がムノよりよほど器用なのは、「ファーム」にいた頃から変わりない。どうしようもない「休暇」という無駄な時間も、彼女は有意義に使ってしまうだろう。「暇だなあ」 それはつまり平和であることの裏返しだと、ムノは知らないふりをした。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword