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bernadette

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ファフロツキーズ


 廃病院というものには、都市伝説がつきものだ。それが、人が近付かないような、いかにもな場所に建てられていればなおさらだろう。もはや車の通った形跡のない道路を登り、手入れされることのない門をくぐり、汚れ、朽ちつつある病院の玄関前に立つ。蝉の音が遠い。
 黒崎の目の前に落ちてきたのは、白い球体だった。

「……25回目」

 もはやつくべきため息も在庫切れだった。黒崎は小さくカウントし、雇い主に持たされたスケジュール帳を開いた。8月1日から数えて25日目の、8月25日、すなわち今日のスペースはまだ空欄だ。だが、そこに書き込む言葉は決まっている。
 じっとりと濡れた手首を緩慢に持ち上げ、時計を見た。黒い文字盤の中、白い針が午後2時07分を指している。
 8月25日、午後2時07分。今日の落下物、眼球1個。安っぽいボールペンで、そう、書き込んだ。
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