2014/08/29 Category : 奇談 女装男子書きかけ 世御坂キリトは女装が趣味である。 彼は、彼と言うからには男だ。性自認も男だ。まるで呼吸をするかのごとく女性用の服を着るが、それは彼の趣味である。私と世御坂の付き合いは高校時代まで遡るが、今思えば、その頃から既に彼の女装趣味は始まっていたと思う。本格的になりだしたのは大学に入ってからで、ある日当然のようにシフォンワンピースを着て授業にやってきた彼を、私は特に違和感なく迎えていたような記憶がある。今思えば違和感ばかりの絵面だが、その時の私はきっとどうにかしていたのだ。 とはいえ、彼のその趣味の徹底ぶりは賞賛に値するもので、元の中性的な顔立ちと相まって、化粧をして喉や骨ばった手首の辺りを隠してしまえば絶世の美女へと変貌を遂げる。自分の肌に合う化粧品はどれか、どんな服をどのように着れば男性らしい体つきを隠しつつも似合った姿になるか、彼は常に研究していると言って良い。女装と言うと男子高校生の学校祭の見世物のような滑稽さがあるが、彼の場合はそんな馬鹿らしさはない。きわめて真摯に、その趣味を追求していると言える。 それは良いとして。「なあ那岐、ガーターってエロいよな」 女性の格好をしてその台詞はいかがかと思う。「世御坂」「言いたいことは分かってる」「分かっていないでしょうあなた」「やっぱりやるなら徹底的にやらないとだめだよな」「私はそんなことを言おうとしたのではありません」 趣味に走るのが悪いとは言わないが、さすがに超えてはいけない一線を超えてしまうのはいかがかと思う。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword